・S_0は単色電磁波の電場の全強度
・S_1は同電場のx成分とy成分の強度差
・S_2はx軸となす角が+45°の直線偏光と-45°の直線偏光の強度差
・S_3は右円偏光と左円偏光の強度差
をあらわす」
という説明がある。例えば,ぼくが読んだ中では…
河合滋「光学設計のための基礎知識」(オプトロニクス社)
B. Schaefer, et.al, "Measuring the Stokes polarization parameters", Am. J. Phys. 75, 163 (2007).
(→でも良く見ると,preponderanceという言葉を使っていて「優位,優勢」という意味だから,後述のヘクトの「傾向」に近い言葉だね,これは。となると河合のみ?)
など。
ほぼ同じ文章なので,「Q資料」があるはずだが,どの本なり論文が最初にこの説明をしだしたか分からない。まあそれはいいとして,この説明は,S_0とS_1はいいとして,S_2とS_3に関してはおかしい,っていうか不親切だと思う。
ちなみに他の光学の本では,
ヘクト光学Ⅱ…S_0は入射強度だからいいとして,S_1~S_3は,対象としている光が,ある直線偏光(ヘクトは「P状態」と一般的に呼んでいる)にどれほど似ているか「傾向」を表す量である,と説明している。例えばS_2の場合,光が+45°方向の直線偏光(S_2>0の場合)と-45°方向の直線偏光(S_2<0の場合)のどちらに似る傾向にあるか表す量である,ということ。だからs_2=0だと直線性は無い。だから円偏光の場合はs_2=0。
結晶光学(応用物理学会光学懇話会編)…意味というより,測定からの定義。
E. Hecht, "Note on an Operational Definition of the Stokes Parameters", Am. J. Phys. 38, 1156 (1970)にも「結晶光学」とほぼ同じ定義が書いてある。
ボルン・ウォルフとかは持ってません。
疑問(というか不信感):ストークスベクトルは(単色)電磁波の任意の偏光状態を電場の強度で表現する。だから,その成分は電場の成分の時間平均で一般的に書き下すことが出来る。だから,当然ながら偏光状態を指定しない限り,個々のストークスパラメータは決まらない。それを一般式の段階で「S_2はx軸となす角が+45°の直線偏光と-45°の直線偏光の強度差」なんて言えるはずがない。
大体普通は強度は1に規格化してあるんだから,ある偏光の強度差を比べても,両方とも1だから,どんな場合でもゼロでしょ??
意味が分からん。強度差の言葉の意味がおかしいのか?
→これは,たくさんの偏光が重ねあっている光があってストークスパラメータの線形和で記述できたとして(インコヒーレント:ストークスパラメータは電場強度だから)…と考えても救われない。その場合,楕円偏光になるからである(ヘクト光学Ⅱ,p.138)。
→確かに,x軸に対して+45°傾いている直線偏光のストークスベクトル
S_(+45) = 2 (1,0,1,0)
から-45°傾いている直線偏光のストークスベクトル
S_(-45) = 2 (1,0,-1,0)
を引けば,
S_(+45)-S_(-45)=(0,0,4,0)
となって,S_2の成分だけは残るがね…
これを強度差と言っているのかな?
いずれにしても,ヘクトが一番分かりやすい。
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