さて,この「磁気と生体」シリーズは平成5年(1993年)10月から平成7年(1995年)11月にかけて,「磁気のはなしpart1としてファクシミリで配信されていたシリーズです」とのことです。
「ファクシミリで配信」というのはちょっと状況が良く分かりませんけど,そのあとにある「このたびいつでもご覧いただけるよう、本サイトに掲載することにいたしました。」という文章から推測すると,その当時はそれほど多くの人が読んでいたわけではない,ということでしょうか。
そのような初出に関する事情についてはともかくとして,ぼくが問題だと思うのは,さらにこの後に続く,
「磁気と生体(生命)との関係に多方向からアプローチした興味のつきないサイエンスストーリーです。」
という文章です。自らの感情に関して告白すると,非常にイラっとする。
サイエンスぅ??
はじめに全体の結論を言ってしまうと,この一連のシリーズは全然サイエンスではない。
・「磁気」と「生体」に関する当該科学分野の状況・結果を正しくかつバランス良く紹介をしているわけではない
という意味からも,
・議論の展開の仕方が,最低限の科学の方法論にすらのっとっていない
という意味からも,全然サイエンスではない。
特に重大な問題であり,強く非難されるべきところとして,この一連のシリーズの文章中には
「・・・は確認されている」「わかる」「医学研究者たちは・・・と主張している」「報告されている」「医学統計的に・・・事実なのである」「実証済みである」「実験的に示されている」
という結語が頻出しますが,こういう断定を書いている割には,まったく文献引用がないことです。
これは,腹が立つ。
それに「多方向」っていうのも意味が分からない。
「サイエンス」ってのは事物に対するアプローチの方法であって,おそらくここでいう「方向」の一つなんだろうから,「多方向」って言うことは,このシリーズにはサイエンス以外も含まれているっていうことなんだろうか?
まあ,「興味がつきない」ってのはそのとおりです。おそらく書き手が喚起することを意図している興味とは別だと思いますが。
そうそう,先に表明しておきたいことがございます。
磁気,特に米粒サイズの永久磁石が発生させる程度の静磁場(および磁束)が,血管を拡張させるという効果に始まって,痛み・こりを軽減するなど,おおよそ磁気医療機器メーカが主張されている医療効果を誘引するという主張に関して,ぼくは非常に懐疑的です。
そして,そのほかの磁気医療全般に関しても,懐疑的です。
もっというと,代替医療全般に関して懐疑的です。
(もちろん,漢方→鍼灸→…→ホメオパシーと,懐疑の程度は全然違いますが。漢方医学に関しては,理論というか人間観・世界観はともかくとして,実績および効能の科学的解明が進んでいるという点を鑑みると,もはや代替医療じゃないし)
ですが,これはぼく個人の主観であり,実際のところ科学としてどうなのか,知りません。ですので,今回はこのシリーズを題材として,そして,引用文献が全くないところから,おそらくこれが引用文献であろうという探索も行いつつ,磁気医療について勉強していきたいと思います。
やべえ,大型連載の予感。
(地球温暖化懐疑論についても調べているのに)
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