隣の研究室の助教さんは,材料系出身なのですが第一原理計算に造詣が深くて物理のことも良く知ってらっしゃいます。昨日助教三人バカ飲み会に行く電車の中でのこと。
(もう一人の助教さんは一本前の電車で先に行ってしまっていました。時間や待ち合わせ等の連絡が適当だかんね。あ,あと,新川に着くまで一両編成の電車には,客はその助教さんとぼくの二人だけ。すごい)
「統計力学って何ですか?」
と質問されました。うむ?
よくよく話していくうちに,彼の質問はもっともだと思いました。
日本の物理業界では『統計力学』と『多体問題』がほぼ同義語に扱われていて,かつ『多体問題』と『電子相関系(弱結合・強結合問わず)』が同義語に扱われているような風潮があります。
彼は第一原理屋さんだから多体問題の勉強に苦しんだことがあって,ぼくが「統計力学の基礎が専門」とか言うと,その多体系,特に電子相関系の複雑なことを理論的に研究していると思っていたわけです。でもぼくは細かい技術なんてほとんど知らないし,研究に関して言うことはどうも彼の統計力学のイメージとそぐわない。
ぼくは答えました。いや,吼えました。
「統計力学と多体問題は違う!!○○さんが言っているのは多体問題なんだ!大体○○さんが勉強したMahanの本だって多体問題って題名でしょ!(正確にはMany-Particle Physics)」
「…この点誤解している人が多すぎる!ハバードモデルが統計力学のすべてだと思っている人がいるんだ!グリーン関数だけが統計力学じゃねーんだよ!!」
「何でそんな風潮が日本を支配したか…それはね,全部アンダーソンが悪いんだよ!」
「あとさ,半導体がひと段落ついているから後は量子効果入れれば良いって風潮もぼくは嫌いだ!」
「電子相関はすげー面白い。だけどね,世の中にはイントロで面白そうなことを書いておいて中身がありえねぇクソ研究もあって,そういう連中が統計力学の授業を持っていたりするから誤解がさらに広がるんだ!」
などなど。いきなり吼えられた助教さんに
「そんなに怒らないでくださいよ~」
と嘆願されました。そうですよね。すみませんでした。
もう一回確認しておきますが飲む前です。冗談と本気度は3:7くらいです。
2 件のコメント:
統計力学も多体問題も私には吼えられてしまうくらいわかりませんが、内容は非常に面白くって(笑)仕事中なのにぷぷっと笑ってしまいました~BOSSがいないからなせる業。
そもそも力学には恐怖を感じているので・・・英語も読めないし・・・内容が分からないにも関わらず笑えてしまうのは、きっとその場の状況を想像できるからかもしれません。
相手に吼えているようすは、冗談:本気は7:3にしか伝わっていなそうだから・・・。
優しいから本気で吼えているようには見えないんだなぁ~これがまた♪
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