2009年11月24日火曜日

費用対効果

「費用対効果という観点からのみ議論されている」という批判がありますが,ぼくはそんな批判は結構どうでも良くって,ぼくが腹が立つのは,「費用対効果という観点からのみ議論して,削減」という結果を出した連中が,どんだけ基礎および応用科学技術に携わる人たちを「費用対効果という概念の無い連中」と見下してんのか?と言うことです。おめーさんたちこそ,費用対効果の意味を分かってんのかね?

にしても文部科学省宛にメール出す場合って,「がんばれ」というべきか「ふざけんな」というべきか良く分からんね。…いやそもそも「意見」がほしいらしいから,どっちもダメなんだけど。

2009年11月7日土曜日

外積

科学用語の語彙が少なすぎですよ。なんで「外積」が変換できないかな。外戚の方が使わないよ。

コンピュータグラフィックスでクォータニオン使うらしいのに,ベクトル知らんわけじゃなかろうに。最初っから辞書に入れておいてくれてもいいじゃないかー

かー

若者が読むべき本

と大上段に構えてしまいました。あと,「若者」って誰だ?っていう疑問もありますが,まあそれはともかくとして。

今,原田泰著「日本はなぜ貧しい人が多いのか―「意外な事実」の経済学」という本を途中まで読んでいるところですが,この本が滅法面白い。まずは「はじめに」から引用:

「多くの人は思い込みに囚われている…(中略)…例えば,「少年犯罪は増加している,若者は刹那的で貯蓄もしなくなっている,若者の失業は自分探し志向の強い若者の問題である,日教組の強いところは学力が低い,グローバリゼーションが格差を生んでいる,日本は平等な国である,人口が減少がしたら日本は貧しくなる,昔の人は高齢の親の面倒をきちんと見ていた,高齢化で医療費は増える,…(中略)…」などの言説は,事実によっては支持されない。…」(強調はBudori)

この「事実によっては支持されない」という部分がこの本の面白いところで,すごい勢いでデータを引用しながら,巷に流布する「それらしい言説」をすっぱり否定していきます。ぼくは数値データ(統計)を見るのが好きなので,楽しい。「へー」と納得させられるデータが盛りだくさんです。

その如何にも「理系的」と呼ばれてしまいそうな,淡々と非情に進んでいく論説のなかに,ときどき笑ってしまう文章が入っている。

もちろん,この本の中にあるデータの取り上げ方に恣意性が無いとは言えません。始めに結論をおいてから,データを持ってきているかもしれない。否定するデータもあるかもしれない。著者が自覚的にせよ,非自覚的にせよ,それをやっているかどうかはすぐには分からない。それが経済学に依拠した論説の扱いの難しいところです。

しかしそれでもこの本が面白いのは,その「批判できる」という点にもあります。「本当かな?」と思ったらデータの引用もとが明らかになっているので,実際に自分で調べることができるわけです。

…ぼくは調べていませんが。

で,この本を途中まで読んで思ったことは,

「やれやれ,どうもこの国と企業は若者には優しくないらしい」

ということです。例えば,年金。ぼくもそうですけど,払っても帰ってこないと思っている若者が多いと思うんですよね(ぼくが若者かどうかは置いておきますけど,受給年齢がいずれ65歳になるだろうから,あと30年以上はもらえないという意味で若者に近いとさせてください)。少なくとも今の受給者よりも少ないだろうなぁ,と。

まあこれは間違いないでしょう。より深刻な不安としては,どこまで起こりうることか分からないけど,年金制度そのものの崩壊もあります。

でも日本の現在の年金支給額は,物価の高さを考慮しても世界最高水準ですよ。自分たちもこの水準の年金が欲しけりゃ高度成長期なみの経済成長を少なくなりつつあって低所得であえいでいる若者でやれってんですか。無理に決まってるじゃん。だから,いずれ,下がります。これはもう,しょうがない。だったらさっさと水準を下げるべきでしょう。

するとね,うちの親(年金受給者)なんかもそうなんだけど,「今までオレたちゃ一生懸命働いてきたんだ!…だからもらって当然!…だから今すぐに下げるんじゃねー!」とかいうわけです。

そりゃあ否定しませんよ。一生懸命働いてきましたよ。だがこの発言の問題点はですね,今もらっている人は自分が払った以上の額をもらっているという本質的な問題と,「じゃあオレ達今の若者が一生懸命働いてねーってか?!」っていう若者の憤りを生むことです。一生懸命働いてるって。

にしても,今の高齢者とここ20年くらいで高齢者になる人々のどれだけの割合が所得格差の世代比較(および過去との比較)を知っているのかな?…

2004年に30歳未満の人(ぼくも入っている)のジニ係数の上がり方は急激です(本書73ページ)。

著者は「若年層の格差拡大の主因は,若者が正社員になれなかったことだ。90年代から最近まで,若者が正社員になることが難しかったのは経済が停滞していたからだ。小泉改革と格差拡大とは何の関係もない」と喝破しています。

ぼくは小泉さんは嫌いですが,この指摘はもっともだと思いました。

それでもやっぱり,政治は関係ないとは言うものの,バブルが崩壊して少子化がすげー勢いで進んでから,政府の取ってきた施策ってのは,小泉さんとかそのあとに続いた人とか今の人もそうだけど,若者の方はあんまり見てないよ。少なくともこの本の取り上げているデータはそう言っている。

それを改善するためにはどうしたらいいのかというと,やっぱり若い人が選挙に行くしかないわけです。若者向けのしっかりとした政策を持っている政治家を,若者が選ばないといかんのです。

ぼくは特に強い政治的信条もないし,右とか左とか言う分け方はとうの昔にやめてしまったし,宗教は大嫌いだし,そういう意味でも特に支持している政党はありません。

ですが,毎回投票には行く。若い人間は投票しないとまずいですよ。

この本を読んでいてつくづく思いました。若者よ,この本を読んで投票に行き,政治家を若者の方に向かせるか,若者の方を向いた政治家を作るべきだよ。

さもないと,経済も上向かないし,教育もまずいことになりますぜ。

だから,この本は若者が読むべきだ,と思ったわけです。