2008年6月27日金曜日

イギリスと磁場とカエル

発表の準備が何とか終わったので駄文をば一つ。

今日のお昼の会話中,うちの先生が
「ヨーロッパってすぐ実用にならないような研究を真摯にやりますよねぇ」
と言いだしました。いや,企業出身の先生なので当然の疑問かもしれません。

しかしぼくとSわ君はそれまで何の役にも立たない研究をやってきたので,「何をいまさら」+「日本ってそういう研究に冷淡だよねぇ」と,これまた紋切り型の反応をしてしまいました。

さて,その後「確かにヨーロッパはおかしいですねぇ,実はこんな研究が…」とぼくが言い出したのが四つ。

(1)マーフィの法則:「テーブルから落ちたバター付きトーストは必ずバターの面を下にして着地する」を理論的+実験的に研究。(実際にバター付きトーストを落としまくった。)
(2)磁場を使ってカエルを(生きたまま)浮上させた研究。(動画ありhttp://www.hfml.ru.nl/pics/Movies/frog.mpg
(3)ラトルバックの力学的研究
(ラトルバックってのは,カヌーみたいな形をした独楽のおもちゃで,くるっと回すとそのうち摩擦でだんだんと止まるのだが,一回停止した後,がたがた言いながらその後逆向きに回転し始めます。…えぇっ!重心周りの角運動量が保存して無いじゃん!!というシロモノ)
(4)水切り(平たい石を水面に投げてぴょんぴょん飛ばして回数を競う遊び)の流体力学
(英語ではstone skippingと言います)

で,(1)~(3)はイギリス,(4)はフランスの研究者によるものです。いずれも物理学の専門雑誌に掲載されています。ちなみに(1),(2)はイグ・ノーベル賞を受賞していて,ぼくはイグ・ノーベル賞の本を読んで知りました。もうひとつちなみに,「カエル浮上」の研究者の一人は「Berry phase」のSir Michael Berryです。ええーー

んで,こう,「イギリスってすごいよねぇ。フランスってのも納得だよねぇ」とかいう話になったわけです。そこで実際のメカニズムの話になって,「なんでカエルが浮くの?」とか聞かれるわけです。

・・・・・・・・・答えられず。

さっき調べました。

こういうことらしい。

磁場は単極子がないことを除けば静電場とほぼおなじ法則に従うので,Earnshawの定理が成立し,ふつうは磁場中に磁性体をおいても安定な点は見つけられない(磁性体二つの場合は,ひきつけあってくっつくか,反発して無限大まですっ飛んでいく)。つまり,磁場だけでものを浮かせることは出来ない。

しかしそれは磁性体が常磁性体か強磁性体の場合であって,反磁性体にはこの定理は適用されない。

反磁性はあんまりなじみがないけれど,実はすべての物質は電子を持っているから反磁性を持っている(ラーモア反磁性)。

反磁性の程度は物質によりけりで,普通はごく微弱だけど,その中で水はバルクで反磁性体である。(超伝導体は完全反磁性を持ってるが,これは今の議論の対象外)

生物は水が多い。

特にその生物が十分軽くて水をたくさん含んでいれば…

磁場で浮く!!

それならカエルだ!!!

ということで,カエルなのです。

(ちなみに,リニアモーターカーの浮上原理はまったく違います。それにしても「ジェイアール式マグレブ」って言い方ってカッコいいよねぇ)


がんばれば人も浮きます・・・・と言いたいところですが無理でしょう。なんせ,たかーい超伝導磁石を使ってがんばって20テスラなのに,カエルで16テスラ使いますから。また,このくらい超強磁場になるとニューロンに影響が出るみたいですしねぇ。

うーん。

2008年6月13日金曜日

現在

午前1時過ぎ。

いまだ測定中…

測定室の湿度管理のため,エアコン「除湿」をつけっぱなしにしているのですが,正直寒い…しかし,自分が言い出したことなので,止めるに止められず。

一個のサンプルの測定に20分以上かかるからなぁ…こりゃ2時過ぎますな。

2008年6月8日日曜日

ライター持込制限

東京まで行く時はほぼ100%飛行機なのですが,選択肢が二つあります。一つは最寄の山口宇部空港を利用することで,ほとんどの場合,ぼくもそうします。

もう一つは車で1時間ちょっと走って北九州空港まで行くことです。

近くに山口宇部空港があるのに,なぜ北九州まで行くのか?

それはスターフライヤーが夜遅くまで運行してくれているからです。東京→北九州の最終便が23:15発で,その一つ前が21:35発です。山口宇部の場合最終便が18:55発の全日空ですから,それよりも2時間以上遅くまで飛んでくれる。

さすがに最終便は利用しません。なんせ北九州に着くのが夜中の1時ですからねぇ。

あと,1週間以上前に予約しておけば,高速代+駐車場代を入れてもほとんど運賃は変わりません。

まあいずれにしても空港まで少々遠いですが,その分東京に長く居られるのでごくたまに利用します。

先日も北九州空港から東京へ向かいました。そのときのこと。

チェックインしてスーツケースを預ける場合,飛行機に載せる前にX線でチェックしますが,その際モニターをチェックしていた係員(警備員みたいな格好した人。警備員?)に,

「ライター入ってませんか?」

と言われました。あれ~?

「中開けてよろしいですか」

「どうぞ~,あ,開けます開けます。どこ?ここ?…あー,確かにありますねぇ。入れてたの忘れてました」

おそらく,タバコをカートン買いしたときおまけでくれた100円ライターですね。

「他にライターお持ちですか?」

「うーん,持ってますねぇ」

「どうしますか?」

「あぁ,処分しちゃってください。すみません」

そう,機内へのライターの持ち込みは一個までであり,ジャケットの中にすでに一個持っていたので,この不用意に出てきたライターは処分してもらうしかないわけです。

「あぁ,まだ一回も使ってないのに…でも今使っているやつのほうが火の付きが良いから,こっちにしよう」

とかぶつぶつ言ってたら,警備員さんが

「では,ここに処分了解のサインをお願いします」

と言って紙を差し出しました。はいはい。サインしますよー

ん?

その紙は一覧表みたいな形式で,その日ライター処分を了解した人のサインがずらずら書いてある…はずが,ぼくの前の数人は,サインをすべき欄に,

「サイン拒否」

と書いていました。ちゃんと名前を書いている人も何人かいますが,ぼく以前の数人を含めてサイン拒否をしている人が結構多い。

ぼくはこれを見た瞬間吹き出してしまい,

「はー,みんなサイン拒否してら~」

とひとりごちてしまいました。そしてサインした後,さらに

「何で拒否するんだろう?…良くわかんないな」

と言ってしまいました。すると警備員さんが苦笑しながら,

「ほんとうにねぇ(笑)」

と言いました。

ぼくはへらへらと笑って「じゃあお願いします~」とその場を去ったわけですが,きっとひと悶着あったんだろうなぁ,と想像してしまいました。

まったく,サインを拒否することに何の意味があるんだろう?

その理由の探求のためには,まず航空会社の方がサインを求める理由を考える必要があるでしょう。

「了解のサイン」ということは「本人の同意の下でライターを破棄したのであって,航空会社が強制的に取り上げたわけではない」ということの確認のためにあるわけです。これを拒否するということは「強制的に処分させられた」ということを主張したいということですか? たぶんそうでしょう。

そんでもって,賠償請求の可能性を残したいわけですね,百円ライターの。

(なぜ百円ライターだと分かるのか。高価なジッポなら,確かに賠償請求したい気持ちも分かるけど,ぼくだったら処分するのは嫌だからロッカーに預けるなり,車においてくるなり何か対処するなー。大体ジッポを二つ以上持つって意味分からん。だから,サイン拒否した人のライターが安いライターであることはほぼ確実です。)

でも本気で賠償請求するかね。百円だよ。しかもぼくみたいにカートンで買えばタダでついてくるよ。…ぼくなんかライター何本持ってるか分からないくらいです。

だからね,結局ライター取り上げられて口惜しいから嫌がらせがしたいだけなんだよね。抗議という美名の下に。

なんて器の小さい人物なんだろう…

そして,立て続いた後の人は,きっと前の人に追従したんでしょうね。意味の分からん追従。「こんな嫌がらせの仕方があるんだ」と発見した追従なんだろうか。「あぁ,いいんだ,これしても」。

これまた器の小さい…

恥ずかしくないのかな。いいじゃん,ライター一個ぐらい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ちなみに,この「機内持ち込みライターは一個まで」には法的根拠があります。

航空法により当然爆発物などの危険品は持ち込み禁止ですが,法律の条文自体には具体的な物品はあれ,個数の詳細なんかは書いて無いものもあります。しかし,その法律適用の線引きをするために「施行規則」に基づいて所轄大臣,つまり航空法なら国土交通大臣が告示をします。

「ライター一個」の記載は昭和五十八年(1983年)の「運輸省告示第五百七十二号」(当時は運輸省)の別表第18にきっちり書いてあります。

ここで見れます(pdfファイルです。258ページもある)↓
http://wwwkt.mlit.go.jp/notice/pdf/200702/00004801.pdf

つまり,「ライター一個しかダメ」は法律に基づく国土交通大臣の命令なんですね。

だから,拒否して持ち込めば捕まります。

こうやって国土交通大臣の後ろ盾があるんだから,航空会社だって強制的に取り上げたっていいんじゃないかな,法律のことは良く分からんけど。…しかし,それにしても告示が古いな。最近まで大目に見てもらってきた,ということなんでしょうね。

航空会社って変なところで客に甘いっていうか,もっと厳しくしてもいいんじゃないかと思います。

百円ライター一個でサイン拒否するバカは,いろいろと大目に見てもらっていることを感謝すべきです。こうゆうヤツに限って機内で携帯電話使ったりするんだよなぁ。航空会社も難癖つけて搭乗を拒否すればいいのに。

だから喫煙者の肩身がますますせまくなるんだよ…たのむからマナー良く振舞ってくれよ。本当にタバコ一箱1000円になっちゃうぞ。

2008年6月6日金曜日

書きたいこと

はたくさんあるんだけど,まったく余裕が無い。

書きたいことリスト
・チャペルでの挙式で外国人神父(牧師)が出てくるとコントとしか思えない自分
・合理性に対するダブルスタンダードとそれに堪えられない人種としての科学者
・KYという言葉

そーいや,何の脈絡もないけど,gnuplotのeps出力についての覚書をしときます。自分の使っているバージョンね。
・cdは"¥"はだめ。つまり"\"(バックスラッシュ)はダメで,"/"(スラッシュ)を使え。
・>set terminal postscript eps color
・>set output "(ファイル名).eps"
・>plot "(ファイル名).txt" with lines とか(←txtファイルの場合)
・> set terminal windows
で戻る。epsファイルがおなじフォルダ内に生成されているはず。

ここでこのepsファイルをいられで開こうとすると,コンバータがうまく働かなくてテキストファイルが見えてしまうことがある。
(まあepsはテキストファイルだから厳密には間違ってないんだけど,何か知らんが宣言文が間違ってるっぽい)

そこで,gsview32で一度このgnuplotが生成したファイルを開く。そんでもって再度別名前でgsview32からepsとして保存する。するとあーら不思議,いられで開けるようになる。

たぶん,いられが特殊なんだろうな。

ちなみに,ぼくも含めてgnuplotを「ぐにゅーぷろっと」と発音する人が多いと思いますが,gnuplotは「にゅーぷろっと」と発音するのが正しいらしい。"GNU is Not Unix"のGNUは「ぐにゅー」なんだけど,gnuplotはGNUプロジェクトのソフトウェアじゃないし,発音も違うようです。

これはSわくんに教えてもらったのですが,これがSわくんじゃなくて,いかにもコンピュータ詳しそうなやからに

「ちがいますよぉ,それは『にゅーぷろっと』って発音するんですよ~」

とか言われて勝ち誇られたりしたとすると,間違いなく殴りたくなりますな。

「LaTeX」は「らてっく」と呼んだって「らてふ」と呼んだってどっちでもいいってことになってるじゃんねー